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采配のゆくえ個人ファンサイト。三成、吉継贔屓に活動中。
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小説ですー。続き物の第一作目です。ももかおり。と読んでください。
不定期にゆっくりゆっくり更新していきます。
あ、エロス表現あるので苦手な人はご注意。吉継×三成ですヨ。



 *****
* * * * * * * * * * 

)」






「ん…?」
「どうした?三成」

その香りに気付いたのは。何時の時だったか。
気がつけば、その人は唐突に。
その香りを身に纏っていた。

「吉継。何か、いい香りがする」

そっと近づいて鼻を寄せれば、微かに果実の香り。

「…ああ。それはきっと香だな」
「香?」
「先日、新しいものを取り寄せたんだ」

三成が好きな香りならいいんだが、と笑う吉継に、三成は大きく頷く。
今までの香りも好きだったが、この香りも吉継に合っている気がした。
熟れ切っていない果実のような、まだ土から顔を出したばかりの若葉のような。そんな清涼な匂いだ。甘さはあるが甘ったるくはない、ふわりとした香り。
三成の嫌いな香りではなかった。

「大丈夫。いい匂いだ」
「そうか。それなら、よかった」

嬉しそうに微笑む顔に、三成も笑う。
さらりとした吉継の髪の毛が顔にかかって。
三成はそっと目を閉じた。










「ん?」

次の逢瀬。
いつものように吉継の部屋の中にと遊びに赴いた三成は、部屋に入った瞬間に「その事」に気がついた。
吉継はまだ来ていない。仕事が残っているのだという。
適当な場所に座らせてもらい、部屋の主が戻って来るのを待つ。
なんとなく手持ち無沙汰で、ぐるりと部屋を見回す。
必要最低限にしか物が置かれていない吉継の部屋。殺風景とも取れる部屋だが、必要なものは全て揃いる。全てがそれぞれきちんと分別されて仕舞い込まれ、部屋の隅まで掃除が行き届いている部屋は、塵一つ落ちていない。
なんとも吉継らしい部屋だと入る度に思う。
そして部屋の奥、ひっそりと香炉の中で焚かれている香。

(気のせい…か?)

すん。と。鼻を軽く鳴らしてみる。
先日嗅いだ、吉継の香。甘い香り。
数度鼻を動かして。気のせいではない事を確信する。

(香が、強くなっている…?)

三成の知る限り、吉継はあまり香をつける性格ではない。
あくまで身だしなみの一貫として、自分の好きな香りをほんの少し香らせる程度。
それが。
今では部屋全体を包むかのように、香りが充満している。
そして僅かな、香の変化。

(熟れて、きてる?)

以前のような香りではなかった。
前はまだ青々しかった香の匂いが、今では熟れきり、収穫を待つかのような匂いへと変わっている。
香を変えたのか、と思ったが、どうにもそんな感じはしない。

(香そのものが、熟れたような…)


「三成?」
「!!」


不意に後ろから声をかけられて、三成は飛び上がった。
優雅な仕草で吉継が部屋の中へと入ってくる。

「どうした。ぼうっとして」
「あ、ああ。すまない。考え事を」

部屋の何処に三成が座っているのか目が見えなくとも把握しているらしい。
器用に三成を避け、いつもの定位置のような場所に座る。
手にしていた冷茶を相手の前に差し出し、着物の裾を軽く直し。それから、ゆっくりと。吉継は三成へと向き合った。

「何か、憂い事でも?」
「…いや、そうではないが」

こく、と茶を一口飲んで。

「吉継。香を、変えたか?」

聞いてみた。
吉継の、茶に伸ばそうとしていた手の動きが、止まる。

「……。いいや?変えてないが」
「そうか。いや、なんだか。前とは違うような気がしてな」

部屋の中にたちこめられている香り。
それは、ほんの僅かな変化ではあるけど。

熟れて――――。

「三成」
「ん?」

不意に名前を呼ばれて、三成は吉継を向く。
すぐ目の前に、顔があった。

「…っ、吉…ッ!?」

いつの間にか距離を詰めていたらしい。驚いた次の瞬間には唇を塞がれていた。
即座にかっ、と頬に血が集まった三成に、吉継は低く囁く。


「三成。そんな些細な事。気にしなくていいんだよ」


絹の手袋に包まれた指先が、三成の着物を乱していく。






情事の時、吉継は決して布を取らない。

「驚かせては、いけないから」

それが理由らしい。
さり、と肌の上を滑っていく上質な絹の手袋の感触はとても気持ちがいい。それが吉継自身の肌ならばどれだけいいだろう、と思いつつも。見られる事をこの上なく嫌がっている相手に三成は何も言う事は出来なかった。
布越しの愛撫のみの情事。
それでも、吉継に触れられているという事実は自分を昂ぶらせる。

「ん、ぅ…」

唇はずっと塞がれたままだ。
触れるだけ。啄ばむだけの口付けが繰り返されていく。ひやりとした唇の感触。しっとりとした吉継の体温の低い薄い皮膚。
舌が。ほしい。
絡ませて。
吸い付いて。
愛撫したい。

愛撫して欲しい。

そう願って口を開いても。
決して吉継はそれをくれない。

「よし、つぐ…っ!」

焦らされて、欲しくて。求めても。与えられない。
手を伸ばしても届くのはその肌の上の着物のみ。

「吉継、吉継…ッ!!」
「三成」

繰り返し己の名を呼ぶ三成を、吉継が愛しそうに見下ろす。
三成の体温がどれだけ高まっても、吉継は平然としたままだ。
少しでも着物が乱れれば、吉継はさりげなくそれを直した。
三成を乱す手は止めぬままに。

「いい子だ。もっと。欲しがって…」
「――――ッ、ああ、ッ!あ…!」

囁かれるのと同時に扱かれて、思わず背中が仰け反った。
乱されるだけ乱されて。煽られるだけ煽られて。
自分だけが相手の手の中に欲を吐き出して、終わる。
白い手袋の上に。自分の吐き出した白濁が落ちる。
いつもの繰り返し。


求められるのが、嬉しいのだ。触れてくれるのが、嬉しいのだ。
それ以上は求めてはいけない。
吉継を困らせる事はしてはいけない。言ってはいけない。
それなのに、どうして。
こんなに胸が苦しいのだろう?



一方的なだけの情交が終われば、後は胸に飛来するのは一抹の寂しさだけで。



「う、っ…」

残滓すらも指先の動きで吐き出させられながら、三成は吉継の首にと縋りつき、顔を埋めた。
ふわりと漂う香の香り。
果物のような、甘い香り。
目の前までが、甘く香の色で、霞むようで。
三成の目に自分でも理解出来ない涙が浮かんだ。





匂いが、濃くなっていく。











逢瀬を繰り返すごとに、香りはその強さを増した。
決して不快な香りではない。たまにすれ違う人が吉継にその香の匂いを褒めているのを見つけたりもした。
差し障りなく礼を言う吉継を遠くから見詰めながら、三成はそっと目を伏せる。
あれから少しずつ。だが、確実に。
吉継の香はその濃度を増していた。


「吉継…」




そしてそれに比例するように、吉継が三成を抱く回数も減っていった。
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